開催3年目を迎えるT3 PHOTO ASIAの特別展は、フェアのギャラリーブースによる展示にとどまらず、アジアにおける写真表現の過去・現在・未来を探るキュレーションプログラムです。 今年は、2つの特別企画展を通して、中国とアジア各地とのつながりに異なる視点から迫ります。「Masters」では、中国人アーティストのRongRong&inriによるアーティスト・カップルを紹介します。家族や場所、そして異なる文化的背景が交わる場に着目した作品を紹介します。「Discover New Asia」では、トーマス・ソーヴィンによる《Things Left Behind》を紹介。長年にわたるアーカイブ・プロジェクト「Beijing Silvermine」と、豊富なフォトブック制作の実践をもとに構成された作品です。さらに、フォトブックとプリント・エディションに焦点を当てた新セクション「Next Edition」がスタートします。これにより、フェアには約30のギャラリーやプラットフォームが参加し、写真を「展示する」だけでなく、「出版する」「コレクションする」といった多様なあり方をさらに広げます。「SIGMA」「Marukawa Collection」「T3 NEW TALENT」と合わせ、5つの特別企画プログラムを通して、世代、歴史、表現手法を横断しながら、写真の多様な姿を紹介します。
Discovery New Asia vol.3(DNA vol.3)
Masters
SIGMA
キュレーター梅津元による
2つの企画展を開催
2つの展示は、1枚のレコードのA面とB面のように対をなしています。A面「POST INDUSTRIAL MEDIUM」は、写真を理論から問い直す展示です。 写真は長く「何枚でも複製できる技術」と考えられてきました。しかし誰もが画像を複製できる今、写真ならではの力はどこにあるのでしょうか。1970〜80年代の高松次郎、山中信夫らから、相川勝、吉田志穂ら現代の作家まで19名の作品を通して、光や痕跡といった写真の原理を見つめ直します。B面「帰れない写真」は、写真の情動に向き合う展示です。 ロマンチック、ノスタルジー、メランコリー。写真には、理論だけでは語りきれない叙情が分かちがたく宿っています。タイトルは、井上陽水・忌野清志郎の「帰れない二人」と、大沢誉志幸の「そして僕は途方に暮れる」へのオマージュです。同時に、伊奈信男の「写真に帰れ」や中平卓馬の写真論もふまえています。写真を選びながら、自然と頭の中にプレイリストが生まれていく。そんな感覚から組み立てられたコレクション展です。長く美術の理論側から写真に向き合ってきた梅津にとって、A面は理論の実践であり、B面は内面の解放でもあります。けれども、どちらかが表でどちらかが裏なのではありません。どちらも同じ1人の人間から生まれた「両A面」となる展示です。ぜひ2つの展示を行き来しながら、1枚のレコードとしてお楽しみください。
POST INDUSTRIAL MEDIUM−複製技術時代の終焉
MARUKAWA Collection