Exhibition

MARUKAWA Collection

帰れない写真:
帰属と解除と充填と−そして写真は途方に暮れる



Kunie Sugiura, Cko #L10-V2/2, 1967
©Kunie Sugiura

「POST INDUSTRIAL MEDIUM−複製技術時代の終焉」がA面ならば、本展はそのB面に相当する。A面に「帰れない二人」、B面に「そして僕は途方に暮れる」、そんなレコードを夢想しながら写真の選定を進めると、プレイリストが勝手に増殖を始める。「写真に帰れ」と命令されても、そもそも帰るべき「写真(の本質)」は、最初から幻想に過ぎず、写真はどこにも「帰れない」。「来たるべき言葉」を見つけられず、「植物図鑑」にもなれず、「そして写真は途方に暮れる」。メディウムへの「帰属」から「解除」された「帰れない写真」は、その「空洞」を武器に、現実世界を凌駕する「充填」を開始する。「T3 PHOTO ASIA 2026」に、「A面とB面」として出現する二つの展観は、実は、「両A面」だったのだ。
キュラトリアル・ステートメント(梅津元)


主な出品作家中山岩太、山沢栄子、音納捨三、椎原治、瑛九、岡上淑子、今井壽惠、川田喜久治、細江英公、森山大道、杉浦邦恵、北井一夫、牛腸茂雄、石内都、築地仁、西村多美子、オノデラユキ、野村在、今坂庸二朗、鈴木のぞみ、須藤絢乃(作品は全て丸川コレクション収蔵作品)



Q Ei, Untitled, 1936-39

Zai Nomura, Still Life: 496800ss, 2021



キュレーター

梅津元

批評家/キュレーター。美術、写真、映像、音楽に関わる領域横断的な活動を展開。近年の主な企画:「伊東篤宏 anima ex machina」(工房親、2026)、「〈うつること〉と〈見えること〉-映像表現をさぐる:60年代から現在へ」(ART OSAKA 2025)、「樋口朋之 DUB/stance」(The White、2024)。埼玉県立近代美術館学芸員(1991-2021)としての主な企画:「DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術」(2019)、「ドナルド・ジャッド 1960-1991」(1999)、「〈うつすこと〉と〈見ること〉-意識拡大装置-」(1994)。




©︎T3 PHOTO ASIA